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【受賞】第2回電気設備学会学生研究発表会

優秀賞と準優秀賞を受賞しました

2020年12月26日、東京都八王子市の八王子市学園都市センターで行われた「第2回電気設備学会学生研究発表会」に機械電子工学科/専攻科 米盛研究室の学生16名が発表し、専攻科2年生の八木 貫太さん宮田 凱人さん、専攻科1年生の継田 夏海さん、機械電子工学科5年生の田中 紫苑さん綿貫 歩さんの5名(指導教員:米盛 弘信 准教授)が電気設備学会学生研究発表会優秀賞・準優秀賞を受賞しました。

2020年度は、コロナ禍ということもあり、例年より研究時間が確保できず困難な年でした。また、参加者の都市間移動と密を避けるため、実発表とオンライン発表を併用したハイブリッド開催となりました。例年と違う発表形式でしたが、日ごろの研究成果を大いに発揮してくれました。

受賞概要(学年は2020年度当時)

受賞論文 電源ノイズによって発生するIHクッキングヒータの騒音に関する研究
受賞者
継田 夏海(専攻科 1年)
米盛 弘信(機械電子工学科 准教授)
受賞名
電気設備学会学生研究発表会 優秀賞
受賞日
2021年1月13日
論文要旨

昨今、家庭等にIHクッキングヒータ(以降、IH調理器)が普及している。しかし、IH調理器から可聴域騒音が発生し、人々に頭痛や吐き気などの不快感を与えているという報告がある。先行研究では、商用電源に重畳した電源ノイズが騒音の原因であることや、鍋底径を大きくすると騒音が大きくなることが報告されている。また、重畳する電源ノイズ周波数によって騒音の大きさが変化することが示唆されたが、原因の解明には至っていない。先の研究では、商用電源100Vに対して0.05%~0.7%程度のノイズが重畳すると環境省が定める環境基準を超えることが明らかにされている。環境省の騒音に係る環境基準「専ら住居の用に供される地域」「主として住居の用に供される地域」における騒音は、昼間で55dB以下、夜間で45dB以下が基準値として設定されている。一方、電源に重畳するノイズの周波数に関する規制は設けられているが、CISPR規格14-1より、9kHz以下は規制の対象になっていない。したがって、IH調理器から騒音を出さないための新たなガイドライン策定が必要であると考える。本研究では、1~9kHzの電源ノイズを重畳し、騒音の測定を行う。そして、電源ノイズと騒音の関係を明らかにする。

本稿では、IH調理器用の騒音に関するガイドラインの策定に資するため、重畳する電源ノイズ振幅値を720mVrms、500mVrmsとした際に発生する可聴域騒音を報告する。

受賞論文 PVモジュールから放射するノイズ抑制法に関する研究
受賞者
八木 貫太(専攻科 2年)
米盛 弘信(機械電子工学科 准教授)
受賞名
電気設備学会学生研究発表会 準優秀賞
受賞日
2021年1月13日
論文要旨

近年、様々なエネルギーが消費されており、特に化石燃料の使用割合が高く、エネルギーの変換過程において、環境問題を引き起こしている。これらの問題から、再生可能エネルギーが注目を浴び、太陽電池(以下PVモジュール)の研究が盛んに行われている。しかし、PVモジュールから放射される電磁ノイズがAMラジオ帯(526.5~1606.5kHz)に干渉する問題が報告されている。当該問題では、PVモジュールの面積が拡大することによって、放射するノイズも増大していく傾向がみられる。本研究室では、放射されるノイズの抑制法を検討している。先行研究では、PVモジュール裏面に高周波特性に優れるリッツ線を抑制線に使用した抑制装置を提案し、電磁誘導を利用するノイズ抑制法が有効であることを報告した。しかし、この抑制装置は質量が大きく、あまり実用的ではない。また抑制に寄与する磁界の一部がパネルに届かない問題が生じた。そこで、リッツ線を抑制法に使用した提案法に代わる新たな抑制装置として、銅板を用いたフラット型抑制装置を提案する。

本稿では、フラット型抑制装置の磁界強度抑制効果及び、抑制線を多段にした際の抑制効果を明らかにしたので報告する。

受賞論文 異物がある非接触給電における回路方式が電力効率に与える影響
受賞者
宮田 凱人(専攻科 2年)
米盛 弘信(機械電子工学科 准教授)
受賞名
電気設備学会学生研究発表会 準優秀賞
受賞日
2021年1月13日
論文要旨

近年、地球温暖化や大気汚染などの環境問題により、電気自動車(EV)などの走行中にCO2を排出しないゼロエミッション車(ZEV)の普及が進んでいる。しかし、ガソリン車と比べ、走行距離が短いという問題がある。ガソリン車の航続距離は平均600㎞であり、EVは平均300㎞と航続距離が短い。現在、電源ケーブルを車の充電口に接続して給電するコネクタ給電方式が普及している。しかし、接続の手間等があるため、安全性や利便性に有利な非接触給電方式が世界中で研究されている。日本でも同様に非接触給電の研究が進められており、自動車の走行時や停車時における実用化を目指している。しかし、非接触給電方式には様々な問題がある。問題の1つがコネクタ給電方式の接続方法と比べ、充電に約2倍の時間が掛かるという点である。また、送受電コイル間に異物が入り込んだ際に電力効率が低下する問題がある。

本研究では、非接触給電装置の送受電コイル間に異物が入り込んだとき、電力効率が低下することに着目し、異物の種類や形状などが電力効率に与える影響を明らかにするための取り組みを行っている。先行研究では、異物の大きさを変えて送受電コイル間に異物を挿入し、給電実験を行った。結果として、異物の大きさが大きくなるごとに電力効率が低下することが確認できた。異物に鎖交する磁束量が異物の大きさにより変化し、異物を大きくするごとに反作用磁束の強さが強くなったため、電力効率が低下したと考えた。

本稿では、非接触給電装置の受電回路を直列共振から並列共振へ変更し、異物を送受電コイル間に入れた際の給電実験結果を示す。送受電電力と電力効率を比較し、異物が電力へ与える影響を明らかにする。

受賞論文 ハイブリッドPVモジュールの熱交換特性改善に関する研究
受賞者
田中 紫苑(5年 機械電子工学科)
米盛 弘信(機械電子工学科 准教授)
受賞名
電気設備学会学生研究発表会 準優秀賞
受賞日
2021年1月13日
論文要旨

昨今の日本では、各所で太陽光発電が活用されるようになっており、一般家庭で個人的に利活用する例も見られる。この太陽光発電に用いられるPVモジュールは一様に黒色系であり、特に夏場の表面温度は日射量の関係上大変高くなる。PVモジュールは高温になると、発電効率が低下する特徴がある。現在、一般家庭向けに太陽光を給湯に利用する「太陽熱温水器」が普及している。また、太陽熱温水器とPVモジュールを用いた「光・熱複合ソーラーシステム」も存在する。

先行研究では同システムに着目し、PVモジュールに熱電変換素子を取り付け、反対の面を冷却することにより温度差を得て発電するハイブリッドPVモジュールを提案した。筆者らは、提案したハイブリッドPVモジュールを実際に製作し、諸特性を明らかにすることを研究目的とした。

本稿では、ハイブリッドPVモジュールに使用する冷却用流水路に関する製作過程および供試装置を用いた熱電変換素子の発電実験について報告する。

受賞論文 制御回路を改善したIH調理器用AC-AC直接変換回路の加熱効率に関する研究
受賞者
綿貫 歩(5年 機械電子工学科)
米盛 弘信(機械電子工学科 准教授)
受賞名
電気設備学会学生研究発表会 準優秀賞
受賞日
2021年1月13日
論文要旨

IH調理器は、高周波誘導加熱の原理を用いた加熱調理システムであり、一般的には商用電源を直流へ順変換し、さらに直流を高周波交流へと逆変換して50Hzを20kHz程へと変換している。同方法は一度直流に順変換して再度高周波交流へ逆変換するため、使用する素子数が多くなり損失が大きくなる。そこで本研究室では、交流商用電源を双方向スイッチによって直接高周波へ変換することで素子の導通損失を大幅に減らす回路方式を提案している。しかし、先行研究では変換効率は57.2%と実用に供する変換効率に達することができなかった。

そこで本稿では、素子の種類及び制御回路を改善することで変換効率をどこまで改善できるかを検討する。

メッセージ(学年は2020年度受賞当時)

継田 夏海さん(専攻科 1年)

この度、第2回電気設備学会学生研究発表会にて優秀賞を受賞させていただき、大変光栄に思います。また、貴重なお時間を割いて遅くまでご指導いただいた米盛先生をはじめ、研究室の先輩方、同級生、協力していただいた後輩達には非常に感謝しております。受賞を通して、研究のみでなく様々なことに対して熱心に、真剣に取り組むことが重要であるということを実感するとても良い経験となりました。今回の受賞でおごることなく励みとして、今後もIH調理器から発する可聴領域騒音の研究を進めたいと思います。

八木 貫太さん(専攻科 2年)

この度、第2回電気設備学会学生研究発表会にて準優秀賞を受賞させていただき、大変うれしく思います。また、お忙しい中、お時間を割いてご指導いただいた米盛先生をはじめ、研究室の先輩方、同級生、後輩たちには非常に感謝しております。受賞を通して、改めて研究への意欲が沸きました。日々の研究を大切にし、おごることなく、今後も電磁誘導を応用したノイズ抑制に用いる抑制線の研究を進めたいと思います。

宮田 凱人さん(専攻科 2年)

このたび、第2回電気設備学会学生研究発表会にて「準優秀賞」を受賞させて頂けたことは光栄なことであると思っております。このような受賞の機会を頂きましたのは、米盛先生をはじめ、指導してくださった先輩方、自分を支えてくれた同級生や後輩の皆様のおかげであると実感しています。今後も、本受賞を励みとして仲間と精進していく所存であります。

田中 紫苑さん(5年 機械電子工学科)

この度、第2回電気設備学会学生研究発表会にて準優秀賞を受賞させていただき、大変光栄に思います。また、日々遅くまでご指導いただいた米盛先生をはじめ、研究室の先輩方、同級生、後輩たちには非常に感謝しております。受賞を通して、取り組んでいる研究の重要性を改めて実感でき、自信につながりなりました。日々の研究を大切にし、今回の受賞を励みとして、今後もハイブリッドPVモジュールの効率改善に尽力していく所存であります。

綿貫 歩さん(5年 機械電子工学科)

この度、第2回電気設備学会学生研究発表会にて準優秀賞を受賞させていただき、大変光栄に思います。また、長時間にわたって遅くまでご指導いただいた米盛先生をはじめ、研究室の先輩方、同級生には非常に感謝しております。受賞を通して、研究のみでなく様々なことに対して一生懸命に取り組むことが重要であるということを再認識できるとても良い経験となりました。今回の受賞を受け、おごることなく励みとして、今後もIH調理器用の直接変換回路の変換効率改善に関する研究を進めたいと思います。

機械電子工学科米盛 弘信准教授

このたび、継田さんが「優秀賞」、八木くん・宮田くん・田中くん・綿貫くんが「準優秀賞」を受賞し、指導教員として大変嬉しく思います。

継田さんが研究している内容は、IHクッキングヒータから発生する可聴領域騒音、綿貫くんは家庭用IH調理器の効率改善、宮田くんは近年話題の非接触給電、田中くんは太陽光発電に温度差発電を組み合わせる新規アイディアです。また、八木くんが従事している研究は、太陽光発電におけるノイズ問題を解決するための取り組みであり、JSPS科研費JP18K04117(PVモジュールから発するノイズの低減を目的とした吸収材およびアンテナ技術の応用、基盤研究(C)、2018-2021年)の助成を受けて推進しています。

本研究室では、これらの身近な課題に対して学生と教員が一緒になって実験ベースで研究に取り組んでいます。これからも社会に貢献できるように学生共々がんばってまいりますので、よろしくお願いいたします。

賞状

  • 継田さんの賞状
  • 八木さんの賞状
  • 宮田さんの賞状
  • 田中さんの賞状
  • 綿貫さんの賞状

大会概要

名称
第2回電気設備学会学生研究発表会
期日
2020年12月26日(土)
会場
八王子市学園都市センター
主催
一般社団法人 電気設備学会
サレジオ高専
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