【連携事例】電気工学科と伝統工芸職人の連携が製品化
電気工学科 環境計測研究室(山下幸三研究室)と伝統工芸職人とのコラボレーションが製品化されました
電気工学科 環境計測研究室(山下幸三研究室)は学生とともに伝統工芸職人とコラボレーションし、漆塗の照明器具の開発(照明設計、実験)を行いました。
このプロジェクトは東京都振興公社支援のもとに行われ、発売が決定されました。
また、それに伴い国内外のメジャーな展示会に出品され、大きな話題となり、NHKの情報番組「ひるまえほっと」でも特集されました。
■展示会情報
- メゾン・エオブジェ(パリ)
- ギフトショー(ビッグサイト)
- IFFT(ビッグサイト)
- アンビエンテ(フランクフルト)
- 和のあかり×百段階段(目黒雅叙園)
- その他、東急プラザ銀座、日本橋三越、江戸東京博物館など
メッセージ
5年 電気工学科 大野 秀樹さん
私達は山下幸三先生の指導の元でMods design様の漆灯の実現に向けて提案してきました。身近なものを活用し、入手しやすい素材でメンバーと協力を重ね漆灯の台座、蓋、反射鏡を製作のプロトタイプを製作し、提案しました。
しかし、先方から台座と蓋の真円度の低さを指摘されたりと私達の理解と求められているものが違い、改善を重ねて行くうちに先方の納得のいく漆灯へと仕上がって行きました。漆灯の光源にはLED電球を利用しました。漆灯は部屋を照らすのが目的では無いため、そのまま利用すると明るすぎる問題点も出てきました。先方とミーティングを重ね、漆の濃度を変えていただけることになりました。また、LED電球をコンセントに接続するには漆灯からコードを引き出さなくてはならず、外観を損なわない工夫をしました。狭い漆灯内部に電球を収めるため、大きな口金ではなく最近出てきた小型の口金のLED電球を利用しました。コードによって漆灯の外観が変わることが無いように台座に溝を入れました。LED電球を利用することで漆灯に熱が篭もらないようにもなりました。
こうした工夫にこれまでに培ってきたものつくりの技能を活かすことが出来ました。私達が携わった漆灯が世界で評価されていることを知り、漆灯に携わる機会を頂いたことを感謝致します。
5年 電気工学科 清水 鏡介さん
今回、私は漆灯という照明器具の開発に携わり、学生という立場でありながら、実際の商品を開発するという貴重な経験をすることができました。学内のプロジェクト等でものづくりをする機会はたくさんありますが、それが実際に社会に流通し、人の役に立つということは誰もができることではない貴重な経験だと思います。
漆灯を開発する上で苦労したことは、いかに装置全体に光を行き渡らせるかということです。最初、装置内部で光が拡散せず、光源の形が浮かび上がってしまうという問題が発生しました。この問題を解決するためにメンバーと話し合い、また実際に使用できそうな資材を探し、解決案を練りました。最終的に、薄いプラスチック製の鏡を用いて、円錐状の反射板を作り、装置上下部に装着しました。これにより、内部で光が反射し、装置全体に光を行き渡らせることができました。
この経験から学年の異なるメンバーとも、共に協力し合い問題を解決することができ、交流を深めることができたのも貴重な経験だと思います。
2年 電気工学科 荻野 海斗さん
僕は今回、研究室の活動として本製作に参加させていただきました。伝統的な漆と現代の技術を融合させひとつの作品にするこの活動にとても興味を持ちました。
自分自身も光る照明器具の製作が好きだったので、今回の開発はとてもよい経験をすることができました。
本開発で苦労した点は明るさ不足や光が均一に広がらない、景観を損なわないといった点がとても難題でした。漆の色が濃いため光が通らず暗い照明になってしまったり、光が下まで届かず照明器具の下部が暗くなったり、電源コードの引き出し方が難しいといった点です。しかし、何回も試作品を製作していくうちにアイデアがでてき反射鏡の利用や形を工夫したり、照明の土台にコードが通る溝を作ることのより景観を守ることができ、先方が求めていた理想の漆灯が完成してきました。
本活動を通して感じたことは、自分たちの発想や工夫次第で世の中の人の役に立つ作品が製作できるのだと思いました。とても貴重な体験させていただいたことに感謝します。